過去、多くの人喰い動物が登場して大人気となった動物パニック映画の数々。『ＪＡＷＳ』を代表とするサメ、ヒッチコックの『鳥』、人を丸呑みする大蛇の『アナコンダ』、ワニの『アリゲーター』など数限りない。本作にはその中でも間違いなく最強の動物であるライオンが登場、ライオンは普段温厚で人を襲わないと言われているが、生活圏を脅かされたり、エサが不足してくると容赦なく人に牙を剥く。事実、アフリカでは何度も人喰いライオンによる惨劇が起こっているのだ。本作に登場するライオンは凶暴そのもの、エサを得るために暗がりに身をひそめ、人の油断をついてくる狡猾さも持っている。細い夜道、逃げ場のない路面電車内、身を隠し人を襲うのに適した木々の多い公園などで、確実に人間を捕食していく。ホラーファンも納得の惨殺死体、パニック映画好きにはたまらないサスペンスフルなドキドキ感、そして何と言っても人間対ライオンの、狩るか狩られるかの圧巻の対決シーンは、アクションファンも大興奮の出来栄えである。そして本作を傑作たらしめたのは監督のディック・マース。彼は日本でも『小さな目撃者』『悪魔の密室』などで圧倒的な支持を受けており、本作は日本の映画ファンが待望していたもの、もちろんブリュッセル国際ファンタスティック映画祭など世界中で話題となっている。