永野(佐野和宏)は心をわずらい40年間、入院していた。ところが、3.11東日本大震災の避難中、彼がとっくに完治していることがわかり、皮肉にも震災がきっかけで、ようやく外の世界に戻ることができた。10代から50代を病院で過ごした永野は完全な浦島太郎状態だったが、心は、遠い昔、初めて経験をしたあの人に会いたいという想いでいっぱいだった・・・男にとって初体験の相手は一生の思い出、そんな彼女に会いたくなったら、、、そんな無邪気で真摯な想いを、いまだ原発事故の傷が生々しい福島で描く官能ラブストーリー。全国の劇場で大人たちを魅了し、大阪アジアン映画祭(日本)、ファイブ・フレイバース映画祭(ポーランド)、ニッポンコネクション映画祭(ドイツ)など世界の映画祭でも感動を巻き起こした!惨事を記録する、原発の恐ろしさを訴えるという本来ならば正統的なテーマを意識することなく、悲劇が日常となった世界で、人が生きる根源を全く違った方向から見つめる、しかも官能的な描写と愛らしいラブ・ストーリーは、福島が数多く描かれる今の時代では、ある意味不謹慎なものなのかもしれない。が、そこには監督や脚本家等、作り手の想いが深く刻みこまれ、その想いが観客から高く評価された。 |