ラブホテルの一室で繰り広げられる、男女二人の、ごくごく普通の生々しい会話とメイク・ラブ。脚本には24歳の女性・深井朝子を起用。自身でも『梅田優子の告白』『先生、おなか痛いです』などの監督作も発表する若き女性映画作家であり、本作のシナリオで2011年「月刊シナリオ」シナリオ大賞に入選し、映画化となった。女性が持つみずみずしい感性と女性独特の性愛への視線が刺激的かつ新鮮だ。昨今は、TVドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』や邦画作品『愛の渦』など、女性が性を描いた作品を積極的に鑑賞する時代であるが、女性脚本家を起用することにより本作も女性が鑑賞するに十分なリアリズムを実現、男女ともに楽しめる作品となっている。主演にはグラビア・アイドルの山岸ゆか、ミス東スポ候補にもなった期待の新人で、Hカップが魅力。彼女のイメージDVDは短期間にも関わらず既に3作品が発売されている。本作は映画デビュー作にして、初脱ぎ作品となっており、ファンの間に衝撃が走った。主人公の相手役を演じる守屋文雄は映画「南極料理人」やTVドラマにも出演する一方、「キツツキと雨」など脚本家としても活躍する若きカリスマである。監督は大西裕、長きにわたる助監督修行を経てのデビュー作となった『淫画』は、ポレポレ東中野をはじめ全国各地での上映も成功、邦画界、久々の新進気鋭監督として話題となった。古くは若松孝二や滝田洋二郎、周防正行らの作品、近年は小林政広らの作品を製作し、今や一般映画で活躍する瀬々敬久、サトウトシキ、いまおかしんじなどを育て上げてきた映画プロダクション・国映で育った正統派でもある。過酷な撮影現場で培ってきた国映出身のスタッフ(監督・撮影・録音・助監督)による撮影技術は他の低予算映画とは一線を画し、その繊細な映像と音で、ラブホテルの一室で繰り広げられる物語を丹念に紡いでいる。また、男と女二人だけの密室劇であるにも関わらず、生命の刹那、セックスという行為の本質など、そこに見えない深淵なテーマを見事に描きだしている。 |