動物パニック映画と言えば“サメ”、そして唯一それに匹敵するキャラクターが“ワニ”だ。過去メジャー大作からインディ作品まで数多くの作品がリリースされ、絶えず好評を得てきた。鋭い眼光、何もかも噛み砕く強靭な顎と鋭い歯、そして恐竜ばりの破壊力を持つ尻尾、全てが人間にとって畏怖の対象だ。更に本作に登場するワニは通常のクロコダイルよりはるかに巨大で、過去発見された最大級のサイズを参考に制作されている。そう、本作に登場するワニは、あくまでもワニが本来持つリアルな姿・生態を追及して作り上げられたものなのだ。ワニは本来静かで慎重な性格、深い知性は持たないが単純な感情は表現すると言う。
本作ではそんなワニの性格をうまく描写、慎重故の静かで不気味な行動が観る者の恐怖心をあおり、突如、仲間のワニを殺された怒りが暴走するシーンは壮絶の一言。そして、この映画の持つもうひとつの凄みは人間が感じる原始的な恐怖=捕食される恐怖をリアルに表現している所にある。又、その恐怖を伝えるのに最高の役者が起用されている事も注目。最高の演技派で過去、中井貴一との共演経験もある大俳優グォ・タォ、日本でも女性に人気があり、かつ演技派に成長したモデル出身のバービー・スー、更にワニとの壮絶な戦いを演出したのは香港アクション映画の最高峰“ワンチャイ”シリーズのション・シンシン、本作が面白くなるのは当然の結果である。夏に向けて、スリリングな体験ができる本作は季節商材としても最高の結果をもたらしてくれるだろう。 |