インターネット、とりわけチャットなどを使う判断力のない少年・少女たちが性的な暴力に巻き込まれていく事件は、今や世界中で問題となっている。あまりにも簡単に子供たちが不特定多数の人間と出会え、しかも相手の素性はわからない事が殆ど、これほど恐ろしい環境が急激に出来上がったのでは、対応が遅れ、子供たちが被害にあうのは当然と言えるだろう。本作はまさしく世界で同時多発的に起こっているこの問題を実際のレイプ事件をモチーフにして映画化、全米を震撼させた。特に衝撃を与えたのはあまりにもショッキングなエンディング、少女をレイプした犯人の実像が浮かび上がり、観ている者は悪夢を見ることになる。少女を守りたい母親、父親の苦闘、そして犯人の追跡、観る者はサスペンスフルな展開にも手に汗握ることになる。この映画の成功を決定的にしているのが主人公である少女のリアルな心情や異性への好奇心を丁寧に描いた脚本、これを新人リアナ・リベルトが奇跡的な演技で熱演し、その彼女を３人ものアカデミー・ノミネート俳優（クライヴ・オーウェン、キャサリン・キーナー、ヴィオラ・デイビス）がフォローしている所だろう。更に、この完璧なキャスティングを支えるスタッフ陣はハリウッドのＳ級メジャー映画を支える実力派ばかり、衝撃のテーマ、サスペンスフルな展開、完璧なスタッフ＆キャスト・・・是非とも観て欲しい至極の作品だ。